ブログ「夢と希望と勇気のラビリンス」

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2つ前の職場で、おかしなケアマネAから受けた理不尽な中傷等。

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「潮が満ちる時」(ノンフィクション小説)



老人ホームに勤めていたが、Aと言う軟派な人物からの、大いなる僻みによる不当な扱いや陰湿な仕打ち続きにより、辞めてしまった。二年間きっかりだった。

自分は文科系の大学卒業後に、研修生として勤めた書店は二週間で辞め、滑り込みで介護施設に就職した。
正直申し上げると前の職場はずっと特養であったばかりか、仕事面の他にも色々な意味で疲れる事が多数あった。

異動になる前はY町のK苑と言う施設に一年余りいた。如何にも施設って感じのS苑と比べて、空気が柔らかく一階のデイも二階の特養も綺麗な所で温かみがあり、優しく親切で良い人達が大変多く、利用者七○人といて忙しい場所ではあったが、雰囲気的には比較的過ごしやすい所だった。
多忙でセカセカする事もあってか、その分あちらでも色々あって不安や難しい面も色々とある事は承知だった。

介護施設を幾つか営むC会に入社して一年半目の二月に、M町にある特老施設のS苑に人事異動で戻されて、そこにいたAと言う人物(男性)だが、ケアマネも持つベテランの中年の男性介護職員だった。
自分は先ず、S苑は、全体的な空気感からして、自分の性には合わず溶け込みに難いものだった。デイサービスは分からないが、そこの特養は、利用者の人数は五○人でも雰囲気的に良いものでなく、続かない人が多いらしい。
故に俺も、この四月に訳あって退職したが。

早くから、「六月ぐらいにはもう辞めようかな。」と考えてもいた。

異動になってすぐ、ある意外な程に酷い出来事が起こった。
そのAと言う職員(オジサンで体型は細く、顔はアンガールズの田中さんに似ていますね。)についてだが、彼はどうも、聞いた話でも案の定「若い女の子が大好きで、(若くて綺麗な)女の子には優しいが、逆に、若い男、綺麗な男などは特に大嫌い。」
と言うそんな人だったそうだ。

その人だが、介護の仕事は飛び抜けてよく出来る人らしく新人には特に厳しく鋭く注意しつつ教えたりしていた。
一昨年入った時は自分も色々言われて大変だったが、「まあこちらの事を思って言ってくれているのかな。」と思った。

ここで、三月の末近いある日の事だ。それをきっかけに、私は忽然とドタバタ辞職した。

矢張り、誰にでも「堪忍袋」と言うものがあるものだ。「仏の顔も三度まで。」である。
それでも自分は、不平不満を言わず、あちらでも黙々とじっくり取り組んでいた事は約束出来る。(入社して最初の三カ月は除くが。)
いつものAさんは、パソコンの使い方や、分からない漢字、熟語などがあれば、私に時々聞いて来るにも関わらず、である。
しかも、教えてあげても口先では「ありがとう。」とは言えど、態度を見ればどうも僻んだような感が否めなかった。

ある日、偶々くたびれて偶々、字を一つ書き間違えただけだったが、
「その漢字について、辞書とか調べて見いや!アンタ、ちゃんと義務教育受けたのか、ボケが!御前の出た中学とかって、凄いんだなあ。ちゃんと4月4日までに直しとけよ。ああーあ、御前のせいで帰るの遅くなるわ。」と吐いたまま去って行ったのだった。
その後、勉強会の時も、やっぱり知らない漢字があれば私に「○○君、教えて。」とか聞いて来た。
他には、食堂で「さっきから、何でワシの事を横眼で見るんや?」とか、
トイレで手をしっかり拭いて出て来たら、「さっさと出て来んかい!物覚えの悪さ、事故の多さ(これらは根拠がありませんでした。)の他に、こんな事までトロいんか。」
など。

流石に、これも仕方無いか、とは思っていたが、後日の夜の事だ。

帰り際、更衣室のロッカーにて、何やらメモ書きのような物が落ちてあった。
それはA氏のロッカーのすぐ前に落ちていたので、A氏の物かと考えつつも、一応、手に取って読んでみた。
読んでいて、「これは、多分Aが書いたんだな。」とすぐ感付いた。
A以外の職員は皆まともなので、A以外に考えられなかった。
それも、「これは私の事を書いている!間違いなさそうだ!」と思った。

書かれていた内容は、次の通りだった。

『ふん。あいつ、戻って来やがったのか。ワシはアイツの事が嫌いだ。そう。特にあの、若くて結構なイケメンで字が上手く、難しい熟語や、色々な事をよく知っている、アイツさ。S・Cとか名乗る奴がな。ワシは、若い綺麗な女の子大好き!女の子には特に優しい!だがな、若い綺麗な男なんて、ワシは嫌いだね。見てるだけで気に入りません。
しかもアイツは若い癖に、ワシに負けんぐらい色々な事を知ってて教養の他より、ワシよりずっとイケメンで筋肉もあって字まで上手で、本読んだり文科系の学問・勉強は特に好んでいるらしく、夢は小説家になりたいそうだな。聞いた話だが!!けっ。生意気な奴め!ワシの家は金持ちだが、アイツなんて庶民だ。屑さ!!まあ、分からない漢字とかパソコンの使い方とかあったら、アイツに聞いてるよ。それでも、アイツは気に入らねえんだよ!!
どんなにアイツが真面目だろうが勤勉や誠実だろうが、物知りで優しかろうが、知るもんか!!
顔が綺麗でいつも落ち着いていて、字が綺麗で読書家でな。
お喋りなどよりも、勉強や、本の読み書きが好きな癖に、こんな所来やがって!!はっきり言って、目障りだ!公務員試験でも受けて公務員にでも作家にでも何にでも勝手になってヌクヌクやっとければ良いのに、こんな職場にいるとはな!ワシみたいな人間に大喧嘩を売っているようなもんだ!それもあんなキザな若い男が!!
そうだ!、あいつは、図書館の職員にでもなってチンタラやってりゃいいのさ!
あ、そうそう。図書館で働いている連中も、裏でロクでもない事を考えながらヌクヌクやっているようなヤカラ(輩)ばかりだから、ヤクザと同じだろうな。
あいつもそうさ!あのヤクザめ!どこか行って欲しいな。図書館と言う名の、ヤクザ事務所へでも行けや!!って感じ。全くだな。話にならん。消え失せて欲しい。どんなに、相手が真面目で意思が強かろうと男らしかろうと冷静沈着で勤勉だろうと、そやつらが、堪忍袋の緒を切らす極限まで追い詰めてやれば、こっちのモンさ!!虫が好かないとかもあろうからな。いくら、善人が最善の努力を尽くそうが、それで必ず何でもうまく行くとでも、しいたげられないとでも思ったら、それも大間違いだ!!ふん。とにかくワシは、あの女性職員達が大好きで、あの若い男性職員達が嫌いだな。S・Cの事は大嫌いだな。ふん。』

以上。

(成る程。そう言う事だったか。)
そう思いつつ、その紙切れを破り捨てると、部屋を出て施設を後にして帰路についた。
身体中の力が抜けた思いで、まるで怒る気にも冷める気にもなれなかった。
どうしようもない、僻み・嫉妬だった。
自分はあの人から、叱咤激励されていたのではなく、僻まれていた、迫害を受けていたのだ!!
この次の出勤日から、私は四月一日より、発熱と胃の痛みを口実に、S苑の特養から姿をくらまし、主任との退職の話が漸くまとまったのが、十日だった。
その前だが、街中にある大きな某病院を受診して健康診断書を作成して貰う為、
軽く胃を破壊しようかと、正露丸を三○粒、ノーコーサンを五袋、醸造酢をコップ二杯近く飲んだ。頭と耳がジーーンとしただけで、胃は壊れなかった……。
生まれつき腸は弱く、腸炎で入院した事は二度もあるのに、胃の方はタフな自分。

以上、あのような性根の腐った、軟派で卑劣且つ、外道な者がいる場所には、正直いつまでもはいたくない、とそう思った。
自分はただでさえ、基本的には、「若い女の子にだけ優しいおじさん」や「若い男の子にだけ優しいおばさん」等の、そのような軟派、偏頗、理不尽な分け隔て等は、大嫌いである。曲がった事、軟派、ギャンブル、矛盾、理不尽な差別等は大嫌いで、本、音楽とかは大好きだが…………。

あれから半年間、色々羽根を伸ばしながらも、この十月に再就職出来て良かったと思っている。
前の悪夢のような出来事は、忘れたいものだ。しかし、あのような消してしまいたい思い出程、完全に忘れてしまう事は、もう断然不可能であるとは世の中皮肉なものだ。

あの色白で細いオッチャンこと、あのAとか言う人に優しくされた子達までもが、あの人と性格が似て来ると思うと、身の毛が弥立つ思いだ。
ああ言う人は、 虚栄心の塊 みたいなものだろうから、不良やヤクザより、余計に性格が汚なかったりするのではないだろうかと……。

親以外の、アドレスを交換した人全員に、以上の内容をメールで送っている。堪忍袋の緒が潮時を迎える頃合いに、腹の虫がいい加減、治まりそうもなかったので、魔剣を握らせて貰った。
人間は本来、聖剣と魔剣の両刀使いであり、因みに自分の座右の銘
「何事にも常に半信半疑でかかれ。」や
「大きな聖剣と小さな魔剣を持て。」等だ。

あのS苑と言う施設については前々から、
「施設が古いばかりか、まるで職員の頭の中まで古いのでは??」、
「あんな根暗で頭が古い所、淀んだようなドンヨリ空間、頂けない。」
とそう感じていた。
「断腸の思い」でその会社・C会を辞めたが、未練だとは思いたくない。
巣立つ時、潮時は、誰にしても何にしてもいつかはやって来る。縁が無かったと諦めるとしよう。
知り合ってメール交換もしたりするK苑の女性看護師は「辛い思いしたんだね。何事も経験だから、頑張ってね。」
と言ってくれた。
近所に住む年下の友人は「あんな人は、一回しばかないといかんねえ。自分の仕事を何だと思ってるんだろうね、その人。そのAって人、低レベルで意気地無しな事間違いないね。」
と言ってくれた。

だがC会そのものには大変、世話になったので今では良かったと思っている。
新しい職場の有料老人ホームNでは、経験が生かされているかと存じる。

                                       了



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